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白鳥飛来、餌のマコモ植え回復/おいらせ

2017.06.30

マコモロールを舟で浮島(中央奥)に運ぶ町観光協会員たち=6月15日、おいらせ町の間木堤

マコモロールを舟で浮島(中央奥)に運ぶ町観光協会員たち=6月15日、おいらせ町の間木堤

 青森県内有数のハクチョウ飛来地として知られるおいらせ町の農業用ため池・間木堤(11.3ヘクタール)で、鳥インフルエンザの餌付け自粛で激減した飛来数が回復基調にある。1998年、旧下田町が餌となるイネ科の多年草マコモを栽培し、今年で20年目。回復の背景には、餌付けに頼らずハクチョウと共生する道を歩み続けた関係者の努力があった。
 合併前の下田町時代から「町の鳥」として親しまれてきたハクチョウ。間木堤でも食パンによる餌付けは人気だった。そんな中、下田町は98年、既にマコモ植栽を始めていた宮城県の伊豆沼・内沼を参考に、間木堤への導入を決めた。
 マコモはハクチョウの成長に良い栄養分を豊富に含む。当時下田町職員として視察を行った、おいらせ町商工観光課の松林光弘課長は「『餌付けのパンより自然由来の草の方がハクチョウの成長には良いはずだ』という、保護に熱心に取り組む関係者の声がきっかけになった」と振り返る。
 下田町と町民有志「しもだ白鳥を愛する会」などが堤西側の休耕田でマコモを栽培し、水辺に直植え。合併しておいらせ町となった2006年以降も、おいらせ町観光協会が植栽事業を引き継いだ。08年に餌付け自粛に追い込まれた際は、マコモを育てていたことで、同協会や有志たちがすぐに対策を講じることができた。
 独創的なアイデアも生まれた。同協会副会長の楢山忠さん(73)は、おいらせ町白鳥保護監視員の蛯名幸政さん(81)の意見を参考に、マコモを安定的に供給する「マコモロール」を考案。11年から堤に設置している。
 マコモロールはスギの皮を混ぜたマコモを、垂木となる角材にネットでまいたもの。長さ約2メートル、重さは30キロ以上ある。ハクチョウはネットの網の目から外に伸びた根だけを食べるため、マコモが食べ尽くされるのを防ぐことができる。一度設置すれば数年にわたり餌を供給し続けることができるのも利点だ。

飛来数が回復基調にある間木堤のハクチョウ=2017年2月28日

飛来数が回復基調にある間木堤のハクチョウ=2017年2月28日

 おいらせ町も09年、堤の中ほどに人工の浮島を町費で設置し、ハクチョウを呼び戻す手を打った。浮島には町観光協会がマコモロールを取り付け、現在は貴重な餌場となっている。
 間木堤の飛来数(10月~翌年3月、延べ数)は07年度は4万9973羽だったが、餌付け自粛を境に1万羽を割った。その後、官民挙げての対策が実り、16年度は3万4845羽に回復した。
 本年度の植え付けは6月15日に行われた。町観光協会員約20人がマコモロール10本を浮島に取り付けた。
 同協会事務局の三浦弘嗣さん(26)は「多くのハクチョウが飛来する裏には、ハクチョウを大切に思う人たちのこうした努力がある。そのことを、町民や子どもたちには知っておいてほしい」と話している。

(東奥日報社)