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津軽鉄道、開業88年で乗客1億人達成

2017.09.22

1億人目の乗客となった川口さん(前列右から2人目)と澤田社長(同右端)=津軽五所川原駅

1億人目の乗客となった川口さん(前列右から2人目)と澤田社長(同右端)=津軽五所川原駅

 青森県五所川原市と中泊町を結ぶ津軽鉄道の乗客数が21日、1930(昭和5)年の開業以来累計1億人に達した。車社会の進展や少子化による利用客の減少が続く中、熱心なファンや観光アテンダントらがアイデアを凝らして誘客に取り組み、開業88年目で大台に到達。澤田長二郎社長(77)は「これからも地域と一緒に鉄道を盛り上げていきたい」と力を込めた。
 1億人目になったのは、職場の元同僚との旅行で訪れた川口充さん(71)=東京都新宿区。津軽五所川原駅で行われたセレモニーで、「88年という長い歴史を積み重ねて迎えた節目。立ち会えて光栄です」と喜びを語った。
 冬のストーブ列車で知られている津鉄だが、ローカル鉄道を取り巻く環境は厳しい。ピーク時(1974年)に256万人だった利用客は年々下降線をたどり、2016年は26万人まで落ち込んでいる。
 厳しい鉄路を支えているのが地元の津鉄ファン。「津軽鉄道サポーターズクラブ」の高瀬英人会長(56)は「これだけ歴史があって地域に愛されている鉄道はない」と、さまざまな集客イベントで津鉄の盛り上げに関わっている。
 その一例としてクラブは今年、津軽中里駅にある転車台を復活させた。インターネットを使って資金を募るクラウドファンディング(CF)を活用して180万円余の修繕費を集め、5月にファン約300人が駅を訪れ「本州最北端の転車台」を動かした。高瀬会長は「CFで資金の課題が解決できれば、観光誘致をはじめ、さまざまな津鉄活性化の企画を立てられる。その手応えが得られた」と強調する。
 「津鉄に乗る観光客に津軽の魅力を伝え、リピーターになってもらおうと心掛けている。そうした取り組みが乗客1億人突破の一助になっていれば、うれしい」と話すのは、津軽半島観光アテンダントの小枝美知子さん(38)。4人のアテンダントは車内案内だけでなく、花見シーズンの「お花列車」、作家太宰治にちなんだ「太宰列車」など多彩な企画でファンを呼び込んでいる。
 最近では、昨年末に解散した人気グループ「SMAP」の香取慎吾さん(40)がペイントした「慎吾列車」に着目。SMAPファンの女性客が、列車のある嘉瀬駅に詰め掛けているのを見て、10月に初のガイドツアーを実施する。既に満員という。「若い女性客に津軽を好きになってもらい、何度でも津鉄に乗ってもらいたい」と張り切る。
 津鉄を支える人々の熱意に、澤田社長は「乗客がこれだけ落ち込む中での1億人突破は、みなさんの協力があってこそ」と感謝する。その上で海外客の誘致促進などに意欲を示し、「引き続き地域に応援してもらえるよう、社員一丸で頑張っていきたい」。鉄路を守っていく強い決意を口にした。

(東奥日報社)