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紀行家・菅江真澄の道 再生着々/西目屋

2018.06.04

17年5月、古道再生のため現地調査を行った根深さん(左)と「津軽百年の森づくり」のメンバーら

17年5月、古道再生のため現地調査を行った根深さん(左)と「津軽百年の森づくり」のメンバーら

 白神山地にこの夏、江戸時代の紀行家・菅江真澄(1754~1829年)が歩いた古道がよみがえる-。菅江がかつて暗門の滝を訪れたルートの一部を再生、既存の歩道と合わせ「菅江真澄の道」として整備するもので、青森県弘前市の市民団体「津軽百年の森づくり」と西目屋村が開通に向け準備を進めている。同団体代表で、古道復活を提唱してきた同市の根深誠さん(71)は「白神での人の営みを後世に伝えるきっかけにしたい」と語る。
 菅江真澄の道は、高倉森自然観察歩道から分岐・合流する約1キロ。道中には鉱山の試掘穴や炭焼き窯の跡など地域文化を伝えるスポットが残る。村産業課は「夏休み時期に合わせてオープンさせたい」としている。
0604k 同課によると、昨年2月に同団体から古道再生の提案を受け、同5月に環境省や津軽森林管理署、県自然保護課も交えた現地調査を実施。難易度なども考慮して協議し、ルートの一部を整備することを決めた。
 菅江が残した旅日記「菅江真澄遊覧記」によると、菅江は1796(寛政8)年冬、1798(同10)年初夏の2度、暗門の滝を訪れたとされる。根深さんは菅江の記述や、同じ山道を代々歩いていたマタギからの聞き取りなどを基に、菅江の旅路を明らかにした。今回の整備範囲よりさらに奥深く進んだルート上には、道しるべとしてブナの木につけられたナタメ(鉈目)や、杣(そま)小屋の跡が見られるという。
 「世界遺産登録によってブナの森が守られる半面、山と人との関わりは断たれてしまった」と根深さん。「道は人が歩かなければなくなってしまう。そこに刻まれた歴史や文化が失われるのはもったいない」と、古道再生の意義を訴える。
 菅江たちがたどった道を行き、古道を維持してきた根深さんだが、寄る年波でここ数年は足が遠のいているという。「今回整備されるのはルートのほんの一部だが、由緒ある生活の道を後世に残すための第一歩にしたい」と話す。
 西目屋村や国、県、観光団体などでつくる「白神山地・暗門の滝」森林環境整備推進協議会は5月末の総会で、同推進協が募っている協力金の一部を、菅江真澄の道の整備、維持管理に充てることを承認した。今後、村の委託を受ける形で同団体が案内看板を作り、設置する予定。

(東奥日報社)