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ブロイラー産出額 主産地・北東北の一角 南部町が3年連続全国6位

2018.06.24

鶏舎の前に立つ沼畑さん。「生産効率を突き詰めてきた50年だった」と語る=2日、南部町相内

鶏舎の前に立つ沼畑さん。「生産効率を突き詰めてきた50年だった」と語る=2日、南部町相内

 国内市場に出回る鶏肉の9割を占めるとされる若鶏の総称「ブロイラー」。農林水産省が公表した2016年市町村別農業産出額(推計)によると、南部町が青森県内最大の72億円の産出額を誇り、3年連続全国6位となったことが分かった。周辺の田子、五戸、三戸の3町と八戸市を合わせると総額は129億円に達する。民家から離れた場所で広い土地を確保しやすく、八戸港から飼料を早く安く手に入れられる利点がこの地を一大ブロイラー産地にしたようだ。
 「いかに少ない飼料で大きな鶏に成長させるか。そして1坪(=3.3平方メートル)で多くの鶏を育てるか。生産効率をとことん突き詰めてきた」
 南部町の相内地区。馬淵川沿いに鶏舎6棟(総面積1900平方メートル)からなる「沼畑農場」を営む沼畑俊一さん(70)は、町の農業産出額148億円のうち、約半分を占めるまでになったブロイラー産業の半世紀を振り返った。
 昭和40年代前半。今では「バナナ、パイナップル、ミカン以外は全て収穫可能」と称される町も、当時は病気の流行もあって果樹、稲作とも振るわなかったという。そこで町農協関係者から誘いがあったのが当時米国で伸びが顕著だったブロイラー。沼畑さんをはじめ町内の6人が将来性があると感じ、手を挙げたのが始まりだった。
 昭和50年代に入り、幼鳥から飼料の手配、食肉処理までを一手に受ける大手業者「阿部繁孝商店」(岩手県二戸市)と契約し、全量買い取りの契約生産となったことで経営の見通しが立てやすくなった。臭気や騒音などの課題に対しては、病気が発生した場合のリスクも考え、山を切り開いたり、川沿いの土地を買って鶏舎を建てたという。
 昭和50年代後半、八戸港八太郎3号埠頭(ふとう)に飼料穀物コンビナートが進出。飼料の拠点が従来の石巻港から約280キロ近い八戸港に移ると移動時間が短縮され、注文から3日かかっていた飼料が当日中に来るようになりコストも抑えられた。沼畑さんは「全国有数のコンビナートができたのは大きい。ひと月約60トンの飼料が必要だが、高い鮮度のまま、すぐ入手できるようになった。青森県南、岩手県北の畜産業にとって大きな転換点となった」と話す。
 沼畑さんは現在3万羽を飼育。衛生管理を徹底し、鶏舎の中に外部の人は一切入れない。扉のわずかな隙間から、鶏たちがひしめき合っている姿が見えた。
 一方、産出額34億円で全国19位の田子町。国道104号を秋田県鹿角市方面に向かって車で走ると「立入禁止」の看板が掲げられた鶏舎が目に入ってくる。
 「各経営者とも、鳥インフル対策など防疫面で最大限の注意を払っている」と福田信雄さん(68)。大手業者「プライフーズ」(本社八戸市)から委託を受けるなどして三つの農場の運営に携わる。50年近く生産を続けており、経営者の中では町一番の古株だ。
 福田さんの鶏舎では1坪で60~70羽育てる。約46日で成長したブロイラーを1週間ほどかけて出荷。徹底的に消毒をした後、幼鳥を一気に入荷して育てる「オールイン・オールアウト」を年間6回繰り返し、150万羽以上出荷する。
 肉用牛(黒毛和種)が食肉加工場に出荷されるまでは2年半、豚は半年ほどかかる。ブロイラーは2カ月かからない。福田さんは「回転率がよく収益性がある。先行きの経営計画も立てやすい。産業としてまだまだ伸びる」と強調する。

鶏舎の中で育てられるブロイラー。50日弱で出荷されるという(プライフーズ提供)

鶏舎の中で育てられるブロイラー。50日弱で出荷されるという(プライフーズ提供)

 市町村別の農業産出額は農水省が14年分から公表している。ブロイラーについては各都道府県別農業産出額を各市町村の農場で飼育されている羽数を参考に案分した。青森県全体の16年分の産出額は8市町で合わせて210億円。農場が少数であれば羽数などが特定される可能性があるため、県南5市町以外の3町の金額は公表されていない。

(東奥日報社)