エリア 下北

大間のまち中 やっぱマグロだらけでした

2015.11.14

 

 津軽海峡のマグロ漁が最盛期を迎えた本州最北端の漁師町・大間町。冬へ向かう11月上旬には珍しく、青空が広がり、風や波も穏やかな漁日和。まちあるきにも、もってこいの天気だ。
 昼すぎに町役場を出発。山手へ向かうと、カフェ「巴小(はこ)cafe」が見えてくる。店主のkaoriさん(50)が出迎えてくれた。函館市のカフェで1年ほど修行し、自宅1階を店に改装して7月に開業。店名には「小さな函館」との意味を込めたという。
 古民具や雑貨、愛猫の写真が並ぶ空間はぬくもりたっぷり。常連のお母さんたちは「女の人が集まっておしゃべりできる、こんな場所が大間に欲しかったのよ」と笑顔で話す。野菜たっぷりでヘルシーなランチ(税込み850円)を味わう。「日常をつかの間忘れてホッとしてもらえる。そんな空間を目指したいですね」とkaoriさん。
 昼休みの大間小学校へ。5年生の蛯子綾斗君、磯川蓮治君、奈良琉星君は、体育館でボール遊びの真っ最中。「いつもバスケやドッジボールをしてるんだ」。将来の夢は-と聞くと「野球選手」(蛯子君)「サッカー選手」(磯川君)「家業の板金屋を継ぎたい」(奈良君)と三者三様の元気な声が返ってきた。
 坂道を下ると、群青の海が目に飛び込んできた。商店街にある「一休食堂」の名物は、今が旬のアワビのおでん(同700円)。頬張ると身は驚くほどやわらかく、ダシのうまみたっぷり。口に磯の香りが広がる。御年84歳のおかみ・傳法みつ子さんは「今年で開業51年。苦労もいろいろあったけど、よくやってきたわねえ」としみじみ。
 商店街を歩く。雑貨店に掛かる「斗南藩資料館」の看板に引かれ、主人の木村重忠さん(76)に声を掛けた。会津・斗南藩士の子孫らでつくる「斗南會津会」の会長。自宅兼店舗の2階に資料館を開き、戊辰戦争で敗れて下北などで再興を目指した藩士の歴史を今に語り継いでいる。
 館内には、九代藩主・松平容保直筆の書「向陽處(こうようしょ)」などの貴重な資料が並び、訪れる歴史ファンが絶えない。「会津藩が新政府軍に敗れた“その後”は、あまり知られていない。その歴史を多くの人に知ってもらいたいんです」
 海上守護の女神「天妃(てんぴ)様」をまつる大間稲荷神社に参拝後、海沿いを大間漁協へ。一本釣り漁船「第三十一漁福丸」がマグロを仕留め、白波を立てて戻ってきた。船上では険しい表情の漁師たちも、水揚げの時は自然と笑みがこぼれる。
 大間きっての一本釣り名人・山崎倉(おさむ)さん(65)は、ぷかりとタバコを吹かし「今月に入って4本目だ」と笑顔。ただ、10月までは時化(しけ)続きだったため「(今シーズンの漁模様は)あまり良くないなあ」。マグロの計量も見届けず、すぐに次の獲物を狙って沖へ船を走らせた。マグロは112キロだった。
(東奥日報社)

「巴小cafe」のランチ。店内では常連客がおしゃべりに花を咲かせる

「巴小cafe」のランチ。店内では常連客がおしゃべりに花を咲かせる

大間小5年の仲良しトリオ。左から蛯子君、磯川君、奈良君

大間小5年の仲良しトリオ。左から蛯子君、磯川君、奈良君

名物のアワビおでんを差し出す「一休食堂」の傳法さん

名物のアワビおでんを差し出す「一休食堂」の傳法さん

自宅に「会津斗南藩資料館」を開設している木村さん

自宅に「会津斗南藩資料館」を開設している木村さん

大物マグロを水揚げし、笑顔の山崎さん(右)

大物マグロを水揚げし、笑顔の山崎さん(右)

(東奥日報社)